【紅白歌合戦】エレファントカシマシ『今宵の月のように』感想

大晦日に、リアルタイムで、

最初から最後まで、紅白歌合戦を見たのは

実に7年ぶりです。

いざ、出陣!

 

2017年は、

エレファントカシマシが紅白歌合戦に初出場!

ということで、

非常に大晦日を楽しみにしておりました。

 

19時には、すき焼きの用意などして、

家族みんなでテレビの前の卓を囲み、

食事を開始しました。

 

まあ、みんなは私に付き合って

紅白を見ることになっただけですが、

図らずも、昭和な光景が出現してしまって、

もうすぐ平成も終わるのに面白いものです。

 

今年の紅白歌合戦は、

紅組司会が有村架純さん、

白組司会が嵐の二宮和也さん、

総合司会が内村光良さんで、

テーマは『夢を歌おう』。

 

我らがエレファントカシマシは

後半の37組目に登場、

対する紅組はAKB48でした。

 

番組開始からかなり時間が経っての登場だったので、

エレカシが歌う頃にはもう、

私はかなり酔っ払っておりました。

 

しかし、歌唱前のインタビューで

多少冷静さを取り戻し、

『今宵の月のように』の演奏中は、

(とにかくノーミスで歌いきれば、勝てるはず!)

と、まるでフィギュアスケートの試合を見るように

手に汗を握っての視聴となりました。

 

結果、素晴らしい歌唱と演奏で、

白組も勝利し、

なんとも高揚した気分で

新年を迎えることが出来ました。

 

久しぶりにみた紅白歌合戦は、

余計な小芝居や演出がなく、

まさに老若男女が一堂に会して

歌や踊りを披露し、出演者の方々は楽しみつつも

真剣勝負な感もあり、

本当に、意外にも、全編楽しむことができました。

今宵の月のように、今と昔

 

日数が経ち、録画も何度か見直して見て

思うことを少し書いてみようとおもいます。

 

『今宵の月のように』は1997年の曲で、

エレカシの最大のヒット曲です。


 

当時、私は23歳でした。

デビューした頃のエレカシしか知らなかったので、

この曲を聴いて、ロッキンオンジャパンで写真を見た時は

「エレカシって、今はこんな感じなんだ〜」と

軽く衝撃を受けたのを覚えています。

 

その時は良い曲だとは思ったけれど、

歌詞が、あまり、ピンと来ないという印象の曲でした。

 

くだらねえと呟いて、醒めたツラして歩く

いつの日か輝くだろう 溢れる熱い涙

 

このような歌い出しですが、

「溢れる熱い涙」というのが、

若い私にはとても

陳腐な言い回しに感じたのを覚えています。

 

若者は、「溢れる熱い涙」が実在すると信じていないから。

それが若者が若者たる所以なのかもしれませんが。

 

実際、20年前の若い宮本さんの歌う

『今宵の月のように』は、

出だし前半の

「くだらねえとつぶやいて 醒めたツラして歩く」の方に

より実感がこもっていると感じます。

 

若いリスナーの多くにとっても

「くだらねえとつぶやいて 醒めたツラして歩く」という言葉が

共感をもって受け入れられたのではないでしょうか。

 

そして20年経って、

2017年の紅白歌合戦の舞台で歌われたこの曲は

出だし後半の、

「いつの日か輝くだろう 溢れる熱い涙」が

非常に強い説得力を持って響きました。

 

おそらく20年前の宮本さんにとっても、

「溢れる熱い涙」は

未だ知らない、そうであって欲しいという

願望でしかなかったはずです。

 

長い年月を生きて来た中で、

何度も溢れる熱い涙を流し、

確信に変わっていったからこそ

歌の響きが異なるものになっていったのではないでしょうか。

 

月を見て「いつかはオレも」と誓った若者が

20年を経て、あの時の月のように輝いている。

 

その姿は、まさに『夢を歌おう』

というテーマそのものだと感じました。

歌のちから

 

紅白で披露された『今宵の月のように』は、

情感はありつつも、すごくニュートラルで

聴き手が歌の世界に浸って、

自分の物語として感じ入ることができる

歌唱と演奏になっていたところも

素晴らしいと思いました。

 

30周年の記念ツアーで、

ベストアルバムから選曲した曲目を

なるべく音源に忠実に演奏するように

心がけて来たからこそ、

2017年の締めくくりに

テレビで、このような素晴らしい演奏を

披露することが出来たのでしょう。

 

会場のお客さんにも、審査員や司会の方々にも、

すごく良い雰囲気で迎え入れられ、

会場が喜びに満ち溢れているように感じました。

 

この曲がこんな幸せなムードの中で歌われたことって

今まで、かつて、あっただろうか?

と不思議な気持ちになりました。

 

「自分もこうやって生きて来たんだ」って

自分の来し方を重ね合わせて聴いた人も

多かったのではないでしょうか。

 

一つの歌と歌い手と、

その歌を聴く人々が

同じ時代の中で別々に時を過ごし

再会した時には、

同じ歌、同じ人なのに違うように響く、

歌はそういうものなのでしょう。

 

やっぱり、歌ってすごいな。

しかし、宮本さんはこんな人だったっけ?

 

紅白の大舞台で、堂々と歌い上げる宮本さんを見て、

「やっぱうちの大将、すごいわー」と

惚れ惚れしながらも、

 

いやいや、まてよ。

いつもはこんな気の良いおっちゃんじゃないよな・・・

と思い直しました。

 

もちろん感激しやすい、ピュアな男であり、

嘘くささは全く感じないですが。

 

でもいつものコンサートでの鬼気迫る、

ロックの化身みたいな姿を思い出すと

本当に同一人物なのか?と不思議な気持ちになります。

 

 

1人の人間の中で、全く異なる側面が(しかも極端に)

矛盾なく成立してしまうところもまた、

この人の魅力なんでしょうねえ。